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あの空は遠く輝いて…

 

病いに伏してあの人と別れ、もう数ヶ月が過ぎようとしている。
私は今すぐ魂になってあの人の元に飛んで行きたい。
あの人はいつも私の傍にいた。
兄とも言うべき存在の人だった。
自分の身体が言う事を利かないのならば、魂になって一瞬の内に飛んで行くまでだ。
この動かない身体は惜しげも無く捨てて行く。
本懐叶わず。
それが解っているだけに、せめて私は……
この切ない気持ちをあの人はきっと解っていてくれるだろう。
私を此処に置いて行く時に断腸の思いだと語ったあの人。
その思いに嘘が無い事を誰よりも私自身が一番良く知っている。
刎頚の友を失ったばかりのあの人は、その時、また、私を『失った』のだ。
今生の別れだと、お互いに痛い位、解っていたから。
出来る物なら付いて行きたかった……
足手纏いになる事が解っていても。
たとえその為にこの生命を落とす事になろうとも、遠い地に発つあの人の横に立っていたかった。
それを許さなかったあの人も辛かったのだと言う事を、私は頭では理解していたのに。
わざわざそれをあの人の口から言わせ、ひどく苦しめてしまった。
それでも……取り縋らずにはいられなかった。
苦しめてごめん。どうか、私を許して…。今すぐ傍に行くから。
早く逢いたいよ……こんなに恋しいなんて。
まるで恋するおなごのようだね。
待っていて。きっと……

 

 

あなたに、逢いたい………
あなたのいる遠いその空の下へ、今、すぐ……

 

 

− 終わり −